十二月十六日(金)
会社の忘年会。
最寄りの焼き鶏屋で慎ましやかに行われた。
参加者四人。
ま、言いたい事を言い合える人逹だったので、かなり遠慮なく喋った。
ちと言い過ぎた感もある。
果たして、無礼講は成り立っているのだろうか…少々心配である。
翌日、十二月十七日(土)
二日酔いも無く、すっきり目覚めた朝。
寒いが快晴。
前回のリベンジを果たすべく、朝早く車で東へ。
今回の標的は薊岳、標高千四百数米(忘)
午前九時半頃、登山口のある東吉野村に入り、林道を車で登る。
途中、杉の倒木が行く手を阻む。
今回同行した友人夫妻に倒木の先端を力ずくでしならせてもらい、
出来た隙間を何とか通り抜け、事なきを得た。
更に登り続ける事約十分、やうやく登山口に到着。
既に、標高は七百くらい。
車は三台停まっていた。
先行者は三組か。
車から降りると、身を刺すような冷気。
自分なりにかなりの冬装備で来たつもりだったが、不安に駆られる。
登山者名簿を記入し備え付けの箱に入れ、挑戦が始まる。
今回の登山隊は友人夫妻と我が夫婦の四人。
簡易舗装の林道を登っていると、落石防止の網に氷柱を発見。

感動したと同時に、予想以上の寒さだと実感せざるを得なかった。
直後、目の前の光景に思わず立ち竦む。
ある筈の道が、ない。
完全に崩落している。
何とかコンクリートの割れ目に作られた道らしき所を慎重に進む。
次に迫る難所は沢渡りだ。
向こう岸までの五米、張られているロープを頼りに飛び石を渡る。
少々怖い。
向こう側に道が見えないので、男二人で確認に行く。
先に行ける事が判明すると、戻って女性陣をナビゲートする。
それを何度か繰り返しながら進む。
途中、倒れていた小屋が今秋の台風の凄まじさを物語っていた。
迂回路には梯子やロープが多数設置されていて、スリルを味わいつつ
わいわいがやがや楽しく登って行く。
やがて、沢の音が大きくなってきたかと思うと、突然、目の前に滝。
水量も多く、落差もある。
荘厳ささえ感じるそれは明神滝といふらしい。
少し登ると、滝が近付く。
目を凝らせば、流れている両側に無数の氷柱を見る事ができた。
ふと足元を見ると、地面には霜柱。
平地では真冬でも滅多に見れなくなったものを目の当たりにして興奮した。
冬山、素敵だ。

高度が上がるにつれ、登山道も雪に覆われてくる。
凍っている箇所は杖の先で叩きながら慎重に歩を進めていく。
足を滑らせ沢へ滑落しようものなら、命の保証はない。
正直、かなり怖い所もあった。
『無理っぽいな〜。どうする?』といふ私の問い掛けに対して
誰も断念しようとは言わない。
上はどうなってるんだろう…そんな期待ばかりが心を占めていたのか。
撤退する判断を誤るのが、遭難する一番の要因だと思うのだが。
ま、そんなに大仰に考える程でもなかろう。
樹氷?霧氷?も綺麗だ。

風に吹かれて、木から舞い落ちる氷の結晶は溜め息が出る程だ。
これに陽が射していれば、ダイヤモンドダストなのだろうか?
残念ながら、どんより曇り空だったが。
葛折れの雪道をしばらく登り続けると、一気に視界が開ける。
午後十二時四十分。
雪原の明神平に到着。
一面の雪化粧。
思わず、感嘆の声を上げた。
うぉ〜〜っ!といふ簡単な声だった(寒)
その昔、スキー場だっただけに樹は生えていない。
目指す薊岳は遠く霞んで見える。
あそこを目指すには、時間も装備も足りない。
残念だが、断念。
風吹きさらしの中で飲む味噌汁の温かさは身にも心にも沁み渡る。
持参してた友人夫妻に感謝だ。
山小屋は閉鎖されてて、ノックは無用。
記念に、入り口に掛かっている鐘の音を辺り一帯に響かせる。
から〜ん、ころ〜ん♪
どんどん体が冷えてくるので、長居も無用。
写真を撮って、いざ下山。
雪や凍結のある所は登る時よりも慎重に。
あとは一気に下る。
途中、我が嫁は茂みで用を足すといふ人生初の体験をする。
なかなかな気持ちのいいものだったそうだ。
…癖にならなければ良いが。
午後三時半、無事下山。
帰り、日本百名水・七滝八壺に立ち寄り、水を汲んでから、
やはた温泉で冷えた体を温めて帰路についた。
おそらく、この日の登山が今年の登り納めになるだろうといふ事で、
そのまま友人宅に上がり込み、鍋で忘山会。
汲んできた名水での水割り、珈琲は最高だった。
リベンジどころか、返り討ちに遭ってしまったが、雪山の魅力を
少しだけ知った気がした、大変素晴らしい一日になった。
posted by しゅういち at 22:27| 奈良

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山
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